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キ ス
キラが時々自分に見とれている事はわかっていた。
明け透けなキラの態度に、自分が男女の恋のように想われていることも知っていた。
だから、休憩していたところへキラが来て、午後の予定を話しているうちに、自分を見つめたまま何も話さなくなってしまった時は、もしかして・・・・、とも思った。
そのうちにキラが屈んで、顔を近づけてきた時も別に驚かなかったし、キスされた時も避けようと思えば簡単に避けられたが、避けるような事はしなかった。
だが、キラがはっと我にかえったように体を震わせ、勢い良く上体を起き上がらせた後、こっちがビックリするほど真っ赤になって、あっという間に部屋から出て行った時は、さすがに驚いてしまった。
キスをするのは初めてではないが、さすがに同性からのキスは初めてだ。
キラからの初めてのキス。
それはけして嫌悪感を感じさせるものではなく、ごく普通の接触だった。
自分はごく普通にノーマルだと思っている。
しかし、馬鹿がつくほどお人よしで優しくて、1度決めたらけしてその決心を覆すことがないほど頑固で、驚くほど純粋なキラだけは、自分にとって特別だった。
そのことは、キラにも秘密なのだが・・・・・・。
イザークは飲みかけていたコーヒーを一気に煽って飲み干すと、紙コップを握り締めてつぶし、ゴミ箱へと投げ捨てる。
その時に、ふと、真っ赤だったキラの顔を思い出す。
「あんなに真っ赤になるなんてな。アイツ・・・俺からキスしたりしたら、今度はどんな反応をするんだ?」
そう、つぶやくイザークの表情は、本人には自覚はなくともとても優しいものだ。
休憩室を出て行くイザークは、キラの元へと向うのだった・・・・・・。
END
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