身長差 「じゃあ、僕、ちょっと様子見てくるから」 「ええ、じゃあキラ、お願い」 エリカ=シモンズがキラの言葉に頷くのを確認したあと、キラは立ち上がり、部屋を出るためにドアの前に立つ。 『シュン!』と軽快な音を立ててドアが開く。 キラがちょうどドアを1歩外に出たとたん、部屋に入ろうとしたらしいイザークとぶつかりそうになった。 どうやら、お互いタイミングよくかち合ってしまったらしい。 「おっと」 「あ、ごめん、イザーク」 さっと避けたイザークが手を伸ばして、驚いて体のバランスを崩したキラを支える。 「どこに行くんだ?」 「ああ、ドックだよ。ちょっと機体で見たいところがあるんだ」 「そうか、じゃあ、あとで時間の空いた時でもいい。デュエルを見てくれないか?」 「OK」 ドアの前でキラとイザークが立ち話をしているために、ドアが開いたままになっている。 部屋の中にいた者は、それに気づいて顔を上げて2人を見た。 「頼む。じゃあ、後でな」 そう言って、イザークはさっとキラにキスを落とすと、背中を押し出し、自分は部屋に入った。 ドアの前からキラは通路に押し出されたことと、イザークが部屋に入ってきたことによりドアが閉まる。 「「「「「・・・・・・」」」」」 部屋の中にいて、それを見ていた者はあっけにとられた顔をしてイザークに視線をやり、それに気づいたイザークは、訝しげな表情をした。 「なんだ?」 そう言って、一番近くにいたディアッカに聞く。 聞かれたことにより、意識を戻したディアッカだが、何ともいえない表情を浮かべる。 「えっと・・・さ。俺の見間違えかもしれないけど、今、キラにキス・・・して・・・た・・・よな?」 「ああ」 言いにくそうにしているディアッカに、イザークは何てことない表情であっさりと認めた。 「えっ! マジ!! って、つまりお前らそうゆうことってワケ?」 「なんだ?」 大きな声を出して驚くディアッカに、イザークは嫌そうな表情をして睨む。 「なんだって・・・、お前、同性愛者だったのか?」 「貴様・・・、1度殺されたいか?」 ディアッカの言葉に気分を害したらしく、イザークはディアッカに向かって凄む。 「だって、今、キラにキスしたって認めたじゃん」 「それがどうして同性愛者になるんだっ!!」 「普通そう思うだろ」 その言葉に、ディアッカの他に部屋にいた、エリカ、ミリアリア、カガリ、サイが心の中で頷く。 「俺もアイツもノーマルだ!」 「じゃあ、何でキスしたんだよ」 「・・・・・・」 凄んでいたイザークはディアッカにそう聞かれ、少し考え込む仕草を見せ、ディアッカもイザークが口を開くのを黙って待つ。 「・・・ちょうどいいんだ」 「は?」 いきなりテンションが下がったイザークの意味のわからない言葉に、ディアッカも呆けて聞き返してしまう。 「身長差がちょうどいいんだ」 「し、身長差ぁ〜?」 「ついキスしたくなる位置にアイツの顔があるんだっ!! もう、これでいいだろう! この話は終わりだ。いいなディアッカ!」 「あ、ああ・・・」 何だかよくわからない理由を告げられて話を終わらせられたが、イザークの理由を聞く分では、それはイザークがキラに好意を持っているとしか受け取れない訳で、しかも、どう考えても、無自覚の恋愛感情としか思えないものだった。 たぶん、先ほどの様子からして、『ついキスしたくなる位置に顔がある』キラは、キスされたのも今日が初めてではないのだろう。 いったい、今後この2人がどうなるのか、部屋にいた者は考えるのも恐ろしい想像をしざるえない状況になり、震え上がるのだった・・・・・。
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ずっと、キスしている話を書いているので、他にバージョンはないかと考えまして、考えたお話。
イザークは、『今、考えてわからなくても、いつか時がくればわかるようになる』って思想から、自分の感情に無自覚です。
こんなちょこっとボケの入ったイザークもよいかと・・・。(2004/01/29)