ディアッカとイザークが同室だったのはザフトの頃からである。 さらに戦争が終わり、オーブのMS開発部の専用テストパイロットとして、オーブに来ても、何故かディアッカと同室なのはイザークだった。 同室と言っても、部屋は別にあり、簡易キッチンやバスなどが一緒になっているちょっとしたファミリータイプの住居になっている。 ちょっと違うのは、一般的なファミリータイプの住居より、広く、ホテル並に豪華な感じがるす。 しかも、1日置きに掃除のヘルパーが入り、部屋の掃除はもちろん、洗濯物も洗ってくれるといういたり尽くせりの環境で住めるということだった。 ザフトにいた時は、個室などと言うものはなく、普通に集団生活を送っていた為、アスランに負けたイザークが部屋で暴れると、当然部屋は破壊され、散らかる。 いつもその後始末をするのは、部屋で一番後に入ってきて、イザークの同期であるディアッカの仕事となっていた。 ここではイザークも大人になったのか、アスランと競う事がなくなったせいか、はたまた、キラという柔らかく、微笑むだけで闘争心を霧散させてしまう存在のおかげで、イザークは部屋で暴れる事もなく、ディアッカはイザークと同室であっても、静かな生活を送っていた。 しかし、最近、別の問題が持ち上がってきたのだ。 イザークとキラは非常に仲がいい。 それはとてもいいことだ。 イザークはディアッカを親友扱いしているが、キラは特別なようで、何だかんだと言っては一所懸命に世話を焼いている。 もう、とにかくイザークは、キラが気になって気になって仕方ないようで、キラの側から離れない。 それはそれでほほえましいものがある。 が、しかし!! 最近、キラはイザークの部屋に入りびたりで、そのままイザークの部屋に泊まったりもするわけで、なんとなく、3人で同居しているような感じになっていた。 もちろん、そのことに対しては、ディアッカには文句はない。 キラはアスランがいつ来ても泊まれるようにと、同じ間取りの部屋を普段は1人で使っている為、オーブの姫でカガリと恋人同士のアスランが仕事で飛び回っている間、キラはすっと部屋に1人だから淋しいのだろう。 だから、なにかと世話を焼いてくれるイザークのところへ入り浸っているのだと思っていたのだ。 だが、何だか、いつの間にか、イザークとキラの間が妙に甘い雰囲気が漂っているような気がして、ディアッカは3人でいるのが居心地が悪くなっていた。 気のせい・・・。 そう思おうと思った矢先、ディアッカは不幸にも、部屋に帰ってきて、ドアを開けた瞬間、2人がキスしているのを目の当たりにしてしまったのだ。 真っ赤な顔をして慌てるキラと、邪魔されたことに機嫌が悪くなったイザークは、平然とディアッカを睨む。 その時は居たたまれない気持で自分の部屋に篭ったが、それ以後、イザークはキラと自分の関係をディアッカに隠すのをやめたようで、所かまわず目の前で、いちゃいちゃとしだしたのだ。 さすがに寛容なディアッカといえど、誰が好き好んで親友のいちゃつきを見たいものか。 しかも、今までディアッカが見たこともないような甘い笑みを向け、優しくキラに話し掛けるイザークに、ディアッカは鳥肌があわ立つ。 確かに、同性でも結婚出来る地球のナチュラルに比べ、子供の出産率の下がっているプラントではコーディネーターの同性愛はタブーとされ、結婚すら認められていない。 ディアッカはそんな差別をする気はさらさらないが、目の前で別人のような親友と、友人が平然とキスするのを、誰が喜んで見守れるだろう。 性別に関係なく、そんなものは見たくもない。 たまりかねたディアッカは、丁度廊下を歩いていたキラを見つけ、首根っこを引っ掴むと、有無も言わさずキラの部屋に引きずって連れて行く。 「キラ、オレはお前の事を気に入ってる。でもよ〜、もう我慢ならねぇ!」 大きく目を開いてビックリしているキラに、ディアッカはあるものを押し付けた。 「・・・デ、ディアッカ?」 「オレが言いたい事、わかんだろ?」 「・・・・・」 迫力のある瞳で見つめられ、かくしてキラは何も言えないまま、素直にディアッカの要求をのむことになった。 「キラ?」 自分の部屋に入り、ディアッカにスケジュールを渡そうとしたイザークは、ディアッカの部屋にいるキラを見て、訝しげな表情を浮かべた。 部屋はディアッカの私物がないどころか、キラの私物だけに変わっている。 「イザーク・・・」 訝しげに見つめるイザークを見たキラは、困ったような表情を浮かべつつ、黒い大きなカバンから自分のものを出して片付けていく。 「ディアッカはどうした?」 「えっとー、僕の部屋だった部屋にいるよ」 「は?」 「つまりね、ディアッカが僕達を見て、もうやってられないって言って・・・」 「部屋を交換したんだな?」 「うん」 全部説明しなくともキラの言いたいことがわかったイザークは、会話を簡潔に一言にまとめる。 それに頷いたキラに、イザークはキラに気付かれないような角度に顔を伏せ、ニヤリと笑う。 「思ったよりも早かったな・・・」 そんなつぶやきが聞こえなかったキラは、イザークに『何?』と、聞いたが、イザークは、『なんでもない』とだけ言って、部屋に入ってキラを抱きしめるのだった。 かくしてハメられたディアッカは、その後、静かで安泰な生活を手に入れられたので、それはそれで・・・・・ということで、上手い具合にまとまったのだった。
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ディアッカがキラに渡したのは荷物を詰めるカバンです。
同室・・・と考えた時、スーツCDを聞いて考えたものです。
って言うか、私も同性愛には差別する気はないし、自分の親友が、友達とそうゆう関係だったとしても気にしないけど、目の前でイチャつかれるのは、異性同士でもカンベンして欲しいと思う方なので、ディアッカにも同じ考えを持ってもらいました。
・・・って言うか、同性愛じたい、高校の時の大好き(尊敬)だった先輩が○モだったから、気にならないんだよね。
あの頃は、ジュネやサブが発刊され出したばかりの頃で、誰にも理解してもらえなかったようで、本当に大変そうでした。
(2004/04/16)