Destiny 〜03〜

Destiny

 本日のメンバー全員の顔合わせに、キラは女性陣(カガリ、ラクス、ミリアリア、エリカ=シモンズ)と一緒に先に来て部屋でおしゃべりに花を咲かせていた。

 主任と肩書きがついても、責任者とはちょっと違う。
 そういったことは、コジロー=マードックや、エリカ=シモンズの担当になるらしい。
 つまり、キラはこの開発のメインリーダーのようなものであり、便宜上、主任の肩書きを拝聴しているにすぎないのだ。

 だからといって仕事が楽なわけではない。
 たぶん、一番忙しいだろう。

 キラほど能力を持ち合わせていると、誰も手出し出来ないだろうし、真面目なキラのことだから、ほとんど自分でしてしまうことも予想されていた。
 だからこそ、その要求に対し、迅速に応えられるイザークとディアッカがテストパイロットに選ばれたわけなのだが・・・・・・。

 その話はさておき、キラは女性陣に囲まれ、なんとも居心地の悪い思いをしていた。

 女の子が集まれば、話すことはおのずと限られる。

 選ばれた2人のテストパイロットの容姿について、あれやこれやと話が盛り上がっているのだ。

 特に内容は、デュエルのパイロット、イザーク=ジュールの容姿についてだった。

 見事に美しい銀の髪と吸い込まれそうなアイスブルーの瞳。
 容姿は男性にはあまり嬉しくないだろうが、傷があるのがもったいないほど美しい美少年だという事。
 肌は色がぬけるほど白く、見とれんばかりの容姿だとミリアリアが興奮気味にカガリに話している。

 ただ、容姿に反して、性格の方が短気で怖いということなのだが・・・・。

 その話を聞いてキラは、見た目は美しくて、とても短気で怖い人間像を想像し、本当に一緒にやっていけるのかと不安になってしまったのだった。

 もう1人のディアッカは明るく、付き合いやすい性格で、キラも気心が知れている分、安心もある。

 最低1年は上手くやっていかなければならず、キラは少し緊張しつつ、2人が来るのを待っていた。













 集合時間の数分前になって、やっとドアが開かれ、キラ達はそちらへと顔を向けた。

 最初入って来たのはアスランで、キラは次に入ってきた人間に惹きつけられた。





 噂通り、輝くばかりの美しい銀の髪。
 深いアイスブルーの瞳。
 顔を斜めに横切る傷さえ容姿の美しさを損なう事はない。





 キラは見たこともないほど美しいイザークに見入っているうち、そのイザークと目が合ってしまい、慌てて視線をそらす。

 あんまり見つめるのは失礼だろうし、たぶん、見つめていた自分の顔は間抜けな顔だったに違いないと思ったからだ。

 イザークの後から入ってきたディアッカが部屋に入ったタイミングに、残りのAAの整備士だったマードック達が部屋に駆け込んできて、全員そろった事になった。





 全員がそろい。
 それぞれ簡単な自己紹介をした後、施設内の案内の為、全員施設へと移動する。

 案内係はエリカ=シモンズだ。

 ざっと回ったが、かなり施設内は広く、MS開発部で使用する施設も多かった。
 見たこともない最新のコンピュータがキラの相棒だと聞かされ、キラが目を輝かせたり、デュエルやバスターがきちんと保管されており、2人が久しぶりの自分の愛機に喜んだりと、色々あって解散となった。

 まだ、施設は完全に完成しておらず、本格的な仕事開始は3週間後だが、準備などは出来るため、施設は自由に使用出来ることになっていたので、昼食をとった後、各々各自の仕事場となる場所で準備をおこなう。









 顔合わせの1日が終わり、イザークとはあまり話すことはなかったが、イザークはキラに対し礼儀正しく振舞っていて、かって敵だった事をうかがわせるようなことはなかった。

 それどころか、キラがコンピューターを操作する姿を見て、関心すらしていた。

 何とか一緒に仕事をしていけそうだと判り、その事がキラの気持ちを楽にさせ、困惑気味だった気持ちをほぐす。





 その日、キラは安心して眠りにつくのだった・・・・・・。
















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2004/01/23 作成