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ジオラマ
すべての始まり・・・。
素材「ネジ式」様
 私の名前はキラ・ユラ・アスハ。
 ごくごく普通の女子高生。

 現在は高校3年生ってこともあり、受験勉強に励んでいる最中だったんだけど・・・。










「キラ〜」
「ごめん、ミリィ、もうちょっと待っててー」

 私の席は窓際の後ろから3番目。
 親友のミリアリア・ハウが自分の席、廊下から2列目の2番目の席から私を呼んだ。
 ミリィはとってもおしゃれで、すごく可愛いの。
 毎日、外側にカールさせるのが大変だと言う髪型が、とても似合っている。

 パーマすらかからないまっすぐな私には、普通に肩までストレートに伸ばすしかなくて、とても羨ましい。





 現在はHRも終わり、クラスのみんなもどんどん帰宅する為に教室から出て行っている。
 私もミリィと一緒に帰る予定なんだけど、今日の宿題を書いたメモが見つからなくて、机の中を必死に検索中なの。

 やっと教科書の間に挟まっていた月の王子様の絵柄のメモを見つけ、もうなくさないようにと、4つに折りたたんで筆箱へと入れる。

「ねー、今度、ガンダムの新作、テレビでやるんだって」
「嘘ッ!」

 私のところへ来たミリィの言う言葉に、ビックリしてしまった私は、つい机からカバンを落としてしまった。

 あ、いけない。
 このカバン、若者の街、ウェイトマークにある店に4日も通って手に入れたロランシーのカバンなんだよね。
 しばらくのおこずかいが削減されてしまった原因になってしまうぐらい、色々と大変だったんだもん、あんまり汚さないようにしないと。

 私は拾ったカバンの汚れをハンカチで払ってからミリィを見る。

「ミリィ、さっきの話、本当?」
「うん、今朝登校途中のコンビニで買った、キューチャオに書いてあったよ。今見せてあげるから、ちょと待って」
「うん、あのシリーズ、大好きなんだよねー。戦争をテーマにさまざまな人間模様とか描かれてて、それでちょっと恋愛要素なんかも織り込まれててさ〜♪」

 ミリィは私に見せる為に、カバンから女の子雑誌、キューチャオを出すと、記事が書いてあるページを探している。

「キラんちは、お母さんも好きなんだっけ?」
「うん、そうなの。お母さんなんてファーストからリアルタイムで観てたんだよ。いいよねー。私はWからなんだけど、今ままでのシリーズは全部ディスクで観たんだ」
「私もファーストはディスクで観たよ。やっぱ、いい話だったよね。・・・ってあった!」

 声を少し大きく上げると、ミリィは開いたページが良く見えるように、私のほうに向けてくれた。

「えっと、・・・人気のスペシャルドラマ「ガンダム」シリーズの新作が来年製作されることとなった。監督にミハイル・フクダが決まり、キャストはほぼ決定されている。今回、いつもの通り、主人公を一般公募し、オーデションで決定する事となっている、応募資格は、16歳から18歳までの・・・」
「16歳から18歳!? 私、17だよ!」

 応募方法に、自分の年齢が含まれていることに、気付き、つい興奮気味にそう言ってしまうと、ミリィは呆れ顔で私を見た。

「そりゃそうでしょ。私と同じ年だものね。でも、この後には男子って書いてあるよ」
「男子・・・」

 たったその一言で、気分が下がっていく。
 いくら年齢が当てはまっていたって、性別がダメなんじゃね・・・。
 すごくがっかり。

「いくらキラが中性的な感じがすると言っても・・・」
「え? ホント!? じゃあ、男の子の格好したら男の子に見えるかな? ミリィ、そのページコピーさせてくれない?」
「キ、キラ・・まさか・・・」
「えへ♥」















 応募用の写真は肩から上のアップ1枚と、全身を1枚。

 髪の毛を帽子の中に入れて、胸にはサラシをさらりと巻いて、弟の服を、ちょっと失敬。

 鏡に映る自分の姿に、大変満足。
 これなら男の子に見えるよね♪

 その姿を写した写真と必要な書類を持って、母の所へと行く。

 未成年だから、親の承諾印が必要なのだ。










「あのね、お母さん」
「あらキラちゃん、お願い事?」

 さすが母。
 私の顔と声のトーンでわかったみたい。

「うん、あのね、ここ見て」

 そう言って母に、ミリィにコピーさせてもらったページを見せる。

「まぁ、来年、ガンダムの新作が放映されるのね」
「うん、そうなの。で、このオーディションに応募したいんだけど、親の承諾印がいるんだって、お母さん、ここに名前書いて印鑑押してー」
「あらあら、ここには男の子って書いてあるわよ。キラちゃんたら、いつから男の子になったのかしら?」
「さっき」

 実はさっきからずっと男の子の格好ままだ。

 男の子として応募して、ダメ元でもオーデションの時にでもちゃんと話せば、もしかしたら少しは望みがあるかもしれないもん。
 何もしないで諦めたくないってぐらい、ガンダムが好きだし、ちょい役でもいいから出たいって気持ちがある。

「じゃあ、今日からキラ君って呼ばないとね〜」

 そう言って母は笑うと、応募用紙に名前と印鑑を押してくれた。

「お母さん、ありがとう!」
「少しでもガンダムに関わることが出来るといいわね?」
「うん!」

 大好きな、大好きなガンダム。

 もし、自分が少しでも何かに関われるのなら、これほど嬉しい事は無い。





 ダメ元でも結構!
 宝くじだって買わなきゃ当たらないんだから!!

















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 とうとう、激しく妄想と想像に突き動かされ、書いてしまいました。
 キラが女の子だったら、って話。
 でも、結城にはキラもイザークも王子様同士。
 だから、パラレルにしてみました。
 しかも現代もの。
 ちょこっと未来で、国籍関係なくみんな住んでいます。
 しかも一人称。
 女子高生のぴちぴちハートを描写するには、激しく無理がありますが、おばちゃんも頑張っているのね・・・と生暖かい心でスルーをお願いいたします。m(_ _)m

2004/02/14 作成